看護スタッフによる「看護だより」
第11回のテーマ「『骨粗鬆症予防の食事・栄養素について』」
こんにちは。
また暑い季節が到来しました。
みなさま、夏バテしないよう水分をしっかり摂ってお過ごし下さい。
クリニックは6月で4周年を迎えることが出来ました。
開院当初から働くスタッフとしては、とても感慨深いものがあります。通って頂いている患者さんの中には何回も会っているうちにスタッフの顔を覚えて下さって声をかけてくれる方も多くなってきました。診療に関すること以外の楽しいお話なども採血の時などに聞くことが出来てスタッフ一同今まで以上に患者さんに会うのを楽しみにしております。
第11回のテーマは『骨粗鬆症(骨密度低下)とその予防のための日常生活のポイントについて』の続編です。
日常生活のあらゆる場面での工夫が骨粗鬆症予防につながっていきます。
2回目は『骨粗鬆症予防のための食事に工夫』についてです。
骨粗鬆症発症のリスクが高くなる要素
骨粗鬆症で大切なことは、カルシウムとビタミンD、たんぱく質、そのほかのビタミン・ミネラルの不足を改善することです。
カルシウムとたんぱく質が、骨や筋肉の材料となります。ビタミンDは、摂取したカルシウムの吸収を助ける働きをします。ビタミンKは骨の形成を助けます。
お食事は1日3食食べることがとても大切です。1食抜くことは加齢とともに衰える骨や筋肉の維持に必要な栄養素が不足しがちになりますので注意しましょう。
骨粗鬆症予防に良い食物
骨粗鬆症予防に良い栄養素を効率よく摂取するためには、カルシウムを多く含む食品をとることが重要になります。
1日の摂取目安:700~800mg
(高齢になると腸でのカルシウムの吸収は悪くなりますので、1日800mg以上の摂取が必要となります)
カルシウムを多く含む食品の例
乳製品
カルシウムの吸収率が高い食品です。同時に良質なたんぱく質や各種ミネラルも同時に摂取出来ます。
食品名 | 重量/単位 | カルシウム含有量 |
牛乳 | 200ml | 220mg |
ヨーグルト | 100g | 120mg |
プロセスチーズ | 25g | 158mg |
スキムミルク | 20g | 220mg |
大豆製品
乳製品の次にカルシウムの吸収率が高い食品です。同時に良質なたんぱく質とビタミンKも多く含まれています。
食品名 | 重量/単位 | カルシウム含有量 |
納豆 | 50g | 45mg |
木綿豆腐 | 150g | 180mg |
がんもどき | 1個 | 160mg |
厚揚げ | 1/2個 | 120mg |
魚介類
ビタミンDも豊富に含まれています。
食品名 | 重量/単位 | カルシウム含有量 |
ひじき | 1鉢 | 140mg |
シシャモ | 3尾 | 198mg |
イワシ丸干し | 1尾 | 110mg |
シラス干し | 大さじ3 | 80mg |
野菜、海藻類
ビタミンK、ビタミンC、カリウム、マグネシウムが豊富に含まれています。
食品名 | 重量/単位 | カルシウム含有量 |
小松菜 | 1鉢 | 140mg |
チンゲンサイ | 1鉢 | 80mg |
春菊 | 1鉢 | 100mg |
切り干し大根 | 1鉢 | 50mg |
干しワカメ | 5g | 39mg |
いりごま | 小さじ1杯 | 36mg |
ビタミンDを多く含む食品の例
ビタミンDは、摂取したカルシウムの吸収を助けます。
1日の摂取目安:5.5μg
魚介類
食品名 | 重量/単位 | ビタミンD含有量 |
鮭 | 1切れ | 25.6μg |
さんま | 1尾 | 11.4μg |
カレイ | 1切れ | 10.4μg |
マグロ赤身 | 5切れ | 4.0μg |
卵類
食品名 | 重量/単位 | ビタミンD含有量 |
鶏卵 | 1個 | 1.5μg |
きのこ類
食品名 | 重量/単位 | ビタミンD含有量 |
干ししいたけ | 2個 | 1.0μg |
きくらげ | 2枚 | 8.7μg |
ビタミンKを多く含む食品の例
野菜類
食品名 | 重量/単位 | ビタミンK含有量 |
ほうれん草 | 1鉢 | 215μg |
モロヘイヤ | 60g | 384μg |
小松菜 | 95g | 200μg |
ブロッコリー | 60g | 96μg |
ニラ | 30g | 54μg |
その他
食品名 | 重量/単位 | ビタミンK含有量 |
納豆 | 1パック | 300μg |
鶏もも肉 | 120g | 64μg |
干しワカメ | 5g | 33μg |
良質なたんぱく質を多く含む食品の例
肉、魚類
食品名 | 重量/単位 | たんぱく質含有量 |
カツオ | 1切れ | 21g |
ブリ | 1切れ | 17g |
牛もも肉 | 60g | 13g |
鶏ささみ | 1枚 | 10g |
大豆、乳製品
食品名 | 重量/単位 | たんぱく質含有量 |
乾燥大豆 | 1鉢 | 13g |
牛乳 | 200ml | 7g |
卵 | 1個 | 7g |
骨粗鬆症に悪い食物
塩分の過剰摂取はカルシウムの吸収を妨げ、摂取したカルシウムを尿の中に排泄させてしまいます。大量の食物繊維もカルシウムの吸収率を下げます。カフェインやアルコール、喫煙、脂の多い食品の過剰摂取は、骨密度に悪い影響を与えます。
今回、骨粗鬆症予防のお食事のポイントをお伝えしましたが、お食事は偏りなく摂ることが大切です。特に上記に挙げた食物を摂取している機会が少ない場合は、日々のお食事に取り入れていかれることをおすすめ致します。
当院では骨密度の低下がみられた場合や骨粗鬆症と診断された場合に看護師による食事指導を行っております。ご希望の方はまず、骨密度検査を受けにいらして下さい。
次回は骨粗鬆症予防のための運動のポイントです。
- 第32回甲状腺とヨウ素
- 第31回超音波検査
- 第30回正しいマスクの使い方
- 第29回クリニックリニューアルについて
- 第28回『マンモグラフィ』
- 第27回『止血ベルト』
- 第26回『乳腺の痛み』
- 第25回『橋本病やチラーヂン内服中で妊娠された方へ』
- 第24回『当院で採血検査を受けられる方へ』
- 第23回『甲状腺の術後のお傷のケアについて』
- 第22回『バセドウ病の方の夏の過ごし方について』
- 第21回『授乳中で乳腺炎と考えられる症状をお持ちの方へ』
- 第20回『もしかして甲状腺の病気??』
- 第19回『健康診断の結果をお持ちの方へ』
- 第18回『更年期と甲状腺』
- 第17回『小さなお子様連れの患者さんへ』
- 第16回『当院での医療連携について』
- 第15回『乳房の日々のケアについて』
- 第14回『南池袋パークサイドクリニック受診される方へ』
- 第13回『感染予防対策について』
- 第12回『骨粗鬆症予防の運動について』
- 第11回『骨粗鬆症予防の食事・栄養素について』
- 第10回『骨粗鬆症と検査法について』
- 第9回『甲状腺ホルモン薬の飲み方』
- 第8回『亜急性甲状腺炎』
- 第7回『不妊治療における検査と甲状腺』
- 第6回『バセドウ病と不妊症について』
- 第5回『橋本病と不妊症について』
- 第4回『女性にとって身近な良性疾患《乳腺症》について』
- 第3回『乳がんのセルフチェック(自己検診)方法』
- 第2回『意外な症状に潜む副甲状腺の病気』
- 第1回『バセドウ病の治療薬をスタートするにあたっての注意点』